板場便り vol.36〈 2016年10月18日 〉
すがすがしい秋晴れの元、運動会の歓声が聞こえる季節となり、
青果店の店頭にも風味豊かな山の幸が並ぶようになりました。
この時期になるとおばなではおせちの仕込みの季節です。
今月の板場便りはおせちの一品、いくらの醤油漬けの仕込み風景をご紹介させていただきます。
北海道産の生筋子を用意します。
生筋子から作り上げるのがいくらの醤油漬け。
因みに…
・鮭の腹から取り出した状態が生筋子(腹子(はらこ)とも言う)。
・生筋子をそのまま塩漬け(又は味噌漬け)にしたものが筋子。
・生筋子の袋を破り、1つ1つの卵をバラバラにして味付けをしたものがいくらです。
9月下旬~10月上旬までの生筋子を使います。
時期が遅くなるにつれ皮が固くなる為、早い時期の物を使用するのがポイント。
薄皮から手作業で卵をほぐします。
卵が潰れないように薄皮や筋を取り除く作業はなかなか面倒ですが、ここは丁寧に。
ほぐし終えたら、40℃~50℃のお湯をかけます。
膜や筋が残っていると生臭さや仕上がりに差が出てしまいますので
更に取り除いていきます。
洗い終わったら、すぐにいくらをざるに上げ、水を良く切ります。
水が切れるにつれ、白濁していたいくらが元のオレンジ色に戻っていきます。
ここからは味付けです。お酒は陽の光。
地元の飯米”ヒノヒカリ”を使用した山廃純米酒。
陽の光で煮切り酒をつくり、冷やしておきます。
この他にも味醂を煮切ってスタンバイさせておきます。
煮切り酒、味醂、濃い口を2:1:2で合わせ、
その中にイクラを入れ、洗う→ザルでこす→再び漬け込みます。
こうして仕上げたいくらの醤油漬けを小分けにし保存しておきます。
秋の味覚の一つでもある、自家製醤油漬けを特製おせちと共に、是非ご賞味くださいませ。