板場便り vol.31〈 2015年10月7日 〉
10月に入り夜毎の虫の音に深まる秋を感じる季節となりました。
市場からも旬の食材が続々と入荷し、その中で今月の一品としてお出ししております子持ちの鮎。
鮎と言えば、夏の若鮎が一番というイメージが強いのですが
産卵のために川を下る落ち鮎も若鮎とは違った子持ちの独特の食感、
身の締まりや甘みに、熟成した旨みが加わります。
今月の板場便りでは子持ち鮎の持ち味を生かした【鮎の有馬煮ができるまで】をご紹介させて頂きます。
卵の詰まった子持ち鮎が入荷されてきました。
焼き上がりのサインは焼き色。
きれいなきつね色になれば、白焼きの完成です。
次に、白焼きした子持ち鮎を放射状に並べ
中で魚が飛び跳ねるのを防止するため、落し蓋の上に重しを乗せます。
ほうじ茶、酒、梅干し、を入れ一日半、
骨が柔らかくなるまでじっくりと煮ていきます。
煮汁が減ってきたら有馬山椒を入れ、
たまり醤油、こいくち、砂糖で味を付けていきます。
こうして手間をかけじっくり煮込んだ鮎の有馬煮の完成です。
勿論、骨までお召し上がりいただけます。
鮎の内臓は、独特な風味と他では味わえない微妙な苦みを持っており大人の味を楽しめます。
是非、手間隙かけてつくりあげた品々をご賞味くださいませ。